作成日:2019/08/26
マンションの購入は、一生に一度あるかないかの大きな買い物です。買う決断をすることには勇気がいりますし、その買い時はいつがベストなのかという見極めは、かなり難しいといえます。なぜなら、社会的な要因や経済的な事情、そして自分たちのライフイベントなど、それぞれに合った「買い時」というものがあるからです。そこで、今回はマンションの買い時のタイミングを見極めるためのポイントについて、説明していきましょう。
マンションの買い時を考える大前提として、購入目的が何かによってベストのタイミングは違ってくるという点をふまえておかなければなりません。具体的に言うと、マンションの購入目的が「居住目的なのか」、それとも「投資目的なのか」では、事情が違ってくるということです。「投資目的」での購入であれば当然、「安い時に買って、高いときに売る」ための時機を読むことが重要になります。
物件自体に住むという目的がないので、居住スペースや住環境へのこだわりよりも「将来的に価値の上がる物件なのか」という点に注目して物件を選ぶのが基本です。
では、マンションを購入する人の大半が該当する「居住目的」でのマンション購入ではどうでしょうか。
もちろん、居住目的での購入であっても、社会的な情勢による地価の変動や税制の変更など、経済的な要因も考慮に入れなければならないでしょう。ただ、やはりこれから先何年、あるいは何十年と住むつもりでの購入であれば、目先の損得よりも「自分たちが快適に暮らしていける場所なのか」という点を第一に物件を探すことになるはずです。
つまり、物件選びの決め手になるのは「値段」よりも「住み心地」ということになります。
したがって、居住目的でマンションを購入する場合、そのベストタイミングといえるのは「自分たちにとって理想的な物件が見つかったとき」です。要するに「買いたいときがマンションの買い時」ということ。
特に中古マンションが売りに出た場合、「いい物件だな」と思っていた物件が全く同じ条件で今後出てくることはまずありません。買い時を逃すと、子供が成長して転校しなければならなくなるなど、身動きの取れなくなる要因が増える可能性もあります。
したがって、「理想的な物件」がみつかったうえで、そこに「ライフイベント的な条件」や「経済的な条件」が合ったとき、まさにそのタイミングがマンションの買い時といえるでしょう。
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「住みたい物件が見つかったときがマンションの買い時だ」といっても、実際にはそれだけでマンション購入に踏み切れる人はなかなかいません。やはり、結婚や子供の誕生、仕事の転勤といった大きな「ライフイベント」とタイミングが合わなければ、住まいを変えるという大きな決断にはなかなか至らないことが多いでしょう。
では、具体的にどのような「ライフイベント」がマンションの買い時になりうるかを説明していきます。
マンションの買い時に大きく影響するのが「家族の変化」です。特に多いのが結婚や出産によって家族が増えるタイミング。
家族の人数や生活スタイルに合った環境、部屋数を確保したいと考えて、将来的に長く住むことを前提にマンションの購入を検討するというケースです。結婚によって将来的に子供ができることを考えるならば、子供を育てるのにふさわしい間取り、そして教育環境などを求めてマンションを購入することになるでしょう。
「家族の変化」は家族の人数が増える変化だけではありません。子供が独立した、大学に進学して一人暮らしを始めた、といった変化も住まいを変えるタイミングです。広すぎて持て余す空間があるなら、家賃の支払いも楽で少し手狭の物件をあえて選ぶこともあるでしょう。
また、親の介護が必要となるタイミングでマンション購入を検討する人も増えています。家族に介護を必要とする人がいる場合、新たに家族が同居することもありますし、介護に適した間取りや病院、介護施設から近い立地のマンションに移る、といったケースも少なくありません。
このように家族の事情に大きな変化があるときは、住まいを変える決断をする大きなタイミングといえるのです。
マンションの買い時を判断する基準として、「家族の変化」とともに大きな理由となるのが「仕事の転機」です。
転勤が多い仕事に就いている人は賃貸暮らしを続ける人も多いですが、地方から本社のある東京や大阪などの大都市に戻るタイミングでマンションを購入するという人もいます。転勤のケースによっては絶好の買い時です。
転職も住まいを変えるきっかけになります。ただ、転職の場合は単純に生活環境の変化だけが問題ではありません。
「住宅ローンの問題」が大きくのしかかってきます。転職後には年収が下がるというケースもかなりあるため、住宅ローンの審査が通りにくくなってしまう可能性が高いからです。新たな職場での勤続年数の短さなども、審査でネックとなることがあるでしょう。
さらに、転職後独立して起業するという場合であれば、起業直後しばらくの時期は金融機関から厳しく評価されてしまうことがあります。
したがって、転職のタイミングでマンションを買うケースでは、転職前のタイミングでマンションの購入手続きを済ませてしまう、という方法を検討しなくてはなりません。
このように、「仕事の転機」はマンションの買い時に大きく影響することになります。
マンションの買い時としては「定年退職」も大きな判断基準です。
これまであげた「家族の変化」「仕事の転機」と関係する部分もありますが、定年退職を機に住まいを変えるケースではローンの組み方の都合上、かなり早めの段階から準備する必要があるでしょう。
一般的に会社員の場合、60~65歳で定年退職になるケースが多いです。このタイミングでマンションを購入するのなら、一定の収入がある定年退職前にローンを完済できるようにしたほうが安心といえます。
たとえば、定年退職の年齢が65歳であれば、30歳頃からローンを組んでおいた方がいいということです。
40~50代になってからでもローンを組めないわけではないですが、その場合でも定年退職後のローンの支払いについて考えたうえで購入する必要があります。定年退職後のローンの支払いが難しいようなら、価格が低めのマンションを選んだり、毎月の返済額を上げたり、といった戦略を考えていかなければなりません。
マンションの買い時を考える上では、やはりマンション価格に影響する可能性のある要因について十分な知識を持っておいた方がいいでしょう。ここでは、その代表的なポイントについてあげていきます。
マンションの価格は住宅ローンの金利動向によって影響を受けることがあります。
住宅ローンを利用してマンションを購入する場合、金利が低い状況だと当然、支払総額は低めです。2019年の段階ですでに超低金利の状態は15年以上続いていますが、まだしばらくは政策的に金融緩和の状態が続くと予想されます。
ただ、いつ金利が上がるかはわかりません。世界情勢や国の政策的判断によってコロッと情勢が変わることはあり得ます。
そのため、金利の低いうちにローンを組んでおく、というのも1つの賢い戦略といえるでしょう。変動金利によるローン返済を選ぶ場合でも、低金利が続いているうちは利息を少なめに抑えられます。
さらに、もし今後マンション価格が上がったとしても、金利の低い時点で購入した方が結果的に得をするケースも多いです。
したがって、金利の動向に注目しておくということは、マンションの買い時を見極めるうえで重要なポイントといえます。
マンション購入を検討する段階で、おそらく頻繁に耳にする制度の1つに「住宅ローン減税」があります。
住宅ローン減税は、住宅ローンを借りて住宅を購入する人の金利の負担を軽くするために設けられた公的な制度です。
その具体的な中身は、「年末の住宅ローンの残高」または「住宅の取得対価」のうち少ないほうの金額の1%分、10年間に渡って所得税から減額される、というもの。年間にして数十万円規模の所得税控除が受けられるので、住宅ローンを利用している人にとっては非常に心強い制度といえます。
ただし、いくつかの点で注意すべきことがあり、その1つが適用時期の期限です。
住宅ローン減税の適用時期は2021年12月31日までとなっているので、この制度を利用してマンションを購入したいなら、その前に購入する必要があるでしょう。ただ、住宅ローン減税は過去に制度が延長されている経緯があるので、今後も延長や期間の見直しなどが行われる可能性は高いです。しかし、今後どうなるかは不確定な要素にはなるので、期間の延長を楽観視することはできません。
したがって、マンション購入を検討しているのであれば、このような制度に関する最新の情報に対しても、アンテナを張っておく必要があるでしょう。
あまり聞いたことのない人も多いでしょうが、「生産緑地」は不動産業界にとっては最注目のキーワードといえます。
「生産緑地」とは都市部の農地を保護するための制度です。都市部の土地で「農地」として申請した場合、その土地にかかる「固定資産税」が割安になる、というのが大まかな仕組みです。問題となるのは、この生産緑地には期間制限があるということ。
具体的には、生産緑地の期間は1992年から30年間と定められています。つまり、2022年に生産緑地制度は期限切れとなるのです。
このタイミングで、農地として利用されていた土地の多くが住宅用地として利用される可能性が高い、と不動産業界では予想されています。
当然、住宅用のマンションの供給が増えるので、将来的にマンションの価格は下落傾向となるのではないかとの予測が有力です。
ただ、不動産には地域性がありますから、エリアの人気度や供給量のばらつきなどによって、実際の下落のタイミングを予測することは難しいといえます。したがって、知識として「生産緑地」という問題がある、ということも念頭に、マンション価格の傾向をみておかなくてはならないでしょう。
東京オリンピックも不動産価格に大きな影響のあるファクターです。
過去の国内外のオリンピック開催後の事例から推測すると、東京オリンピック後は日本全体の景気が悪くなると予想されています。
そのため、マンションの価格も全体的に低下する可能性が考えられるでしょう。ただし、東京近辺ではオリンピック後に大規模開発が予定されているエリアもあるので、オリンピック後も建築コストは高止まりするのではないかという見方もあるようです。
この見方に立つ専門家の間では、東京近郊エリアを中心に、結局のところマンションの価格はあまり下がらないのでは、と予測する人も多くいます。このように、東京オリンピック後の価格予測についても意見が分かれているところなので、一方的な情報をうのみするのではなく、多角的に情報を分析していく必要があるでしょう。
不動産の価格は国際情勢によっても左右されます。多くの海外投資家が不動産に投資をしているのがその要因です。
特に国際情勢が不安定な地域からは、一斉に投資家が引き上げていくことがあるので注意する必要があります。
日本の場合はアメリカと中国のパワーバランスに注目しておく必要があるでしょう。主に貿易面での摩擦関係が問題になりますが、東アジアは朝鮮半島や東シナ海、香港や台湾をめぐる情勢不安など、安全保障面でも不確定要素が山積みです。こうした国際政治の動向にも不動産価格は敏感に反応するので、マンション購入者にとっても対岸の火事ではありません。
国際情勢と不動産価格が関係するのは、海外の投資家が日本の不動産に投資しているからだ、という説明をしましたが、この投資家の動きは不動産価格の相場を大きく動かす要因になってきます。投資家はさまざまな要因を背景に投資の判断を行っているので、こうした投資家心理を左右する大きな出来事の前後では不動産価格の相場を注視する必要があるのです。
やっかいなのは投資家といえども、何か事が起これば集団心理のようなものが働きやすいという点です。
消費増税やオリンピック、株式市場の動向や仮想通過がらみの事件など、過去にも投資家が一斉に売り注文をかけて住宅相場が下落した、といったケースは頻繁にありました。したがって、投資家が動きがちな大きなニュースがあれば、不動産の相場に動きがないかを注意深くチェックする必要があるでしょう。
ここからはマンション購入で後悔しないためのポイントを説明します。
挙げていけばキリがないところですが、代表的なポイントに絞ってしっかり理解しておきましょう。
物件をいろいろと見学していると、つい高額なマンションに目移りしてしまうことがあります。
月の返済額にするとほんの数千円、1万円上乗せするだけでグレードアップした物件を手に入れられるかもしれないと思うと、悩ましいところです。しかし、このほんのわずかの差が思わぬ落とし穴となってきます。
住宅ローンでは、年間の返済額の上限が年収の30~35%程度までとなっています。
ところが、実際問題としてここまでギリギリの上限まで借りてしまった場合、家計はかなり厳しい状態となるのが現実です。
一般的には、余裕をもってローンを支払うことができ、なおかつ生活水準をキープするためには返済比率は年収の20~25%程度に抑えた方がいいとされます。マンション購入後は固定資産税や管理費、修繕積立金などの支払いも必要になることをあるので、マンション購入では無理のない予算を組むことが大切です。
マンションなど住宅を購入するときは、物件の購入価格だけに気を取られてはいけません。
住宅の購入に付帯してかかるさまざまな費用があります。たとえば、印紙税や登録免許税、登記手続きにかかる諸費用(司法書士への報酬、不動産取得税など)、それから住宅ローンの手数料に保険料(火災保険や地震保険など)、引っ越し費用などです。
このような諸費用も住宅ローンで借りることは可能ですが、借入金額が増えるために審査が厳しくなったり、返済額が増えたりといった問題が起こります。また、マンション購入で手付金が必要な場合、手付金はマンション価格の5%~10%ほどが相場なので、これもかなり高額です。このように、購入費用以外にもかなりのお金が必要になることが多いので、購入前にしっかり貯蓄しておき、諸費用を自分で支払えるように準備しておいた方がいいでしょう。
住宅の購入に関しては、税制面で優遇される制度がいくつかあります。代表的なものは「住宅ローン減税」です。
所得税から減税分を控除する仕組みなので、確定申告書を提出して申請します。ただ、住宅ローン減税は対象となる物件の条件や適用条件があることに注意が必要です。
たとえば、控除を受ける年の所得が3000万円以下であること、借入期間が10年以上のローンを組んでいること、贈与物件ではないこと、などが適用の条件となっています。中古マンションの場合は、該当物件が耐震基準を満たすことなども適用条件に入ってきますので、事前に物件が条件をクリアしているかを調べておく必要があります。
もう1つ、税制面の優遇と言えば「贈与税の特例」です。
これは、親などの直系尊属から住宅購入の費用援助を受けた場合に、法令で定められた限度額までの金額について贈与税が非課税になる、という制度です。戸籍謄本や登記事項証明書を税務署に提出して申請します。この制度についても受給者の要件は細かく決まっているので、制度を活用する際は事前に税理士や税務署などで相談してみるといいでしょう。
中古マンションの購入を検討する場合、買い時の見極めのコツの1つが「築年数」を見ることです。
一般的にマンションは完成後、築20年までの間は価格がどんどん下がっていきますが、築20年以降になると、価格の下落が落ち着く、という傾向があります。
つまり、築20~30年程度のマンションで計画的な修繕がおこなわれていれば、その後も長く住むことができるので「良物件」と判断できるのです。ただ、気をつけるべきポイントは「耐震基準」をクリアしているかどうかという点。
耐震基準は1981年に変わっているため、この年以前に建てられたマンションは耐震性に問題がある恐れがあります。古いマンションでは大規模修繕が必要となっている物件もあるので、それぞれの物件ごとにその状態をチェックすることが必須となるでしょう。
マンションを購入する際は、住む目的だけの場合でも「資産価値」を意識することも重要です。
十分納得して購入したマンションであっても、転勤や家族の事情などによって手放したり、賃貸に出したり、といったケースも考えられます。こういった場合のことも少し考えて、将来的に資産価値の高くなるマンションを購入することも大切です。
特に資産価値を考えるうえで重要なのは「立地」です。内装や設備はリフォームできますが、立地だけは変えることができません。
マンションの建っているエリアが交通アクセスや環境面で便利なところかという点は、住み心地だけでなく資産価値という面でも重要な見極めポイントとなります。
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マンションの購入は、人生にとって大きなイベントとなる買い物です。
経済的な状況だけでなく、自分や家族の事情に合わせて購入することになるため、そのタイミングの見極めは買う人によって違ってきます。
マンションの購入について無料で相談できるサービスもあるため、不安な点があれば相談することも可能です。
しっかり準備をして、自分たちにとっての理想の買い時にマンションを購入しましょう。