作成日:2019/08/14
マンションの買い替えにかかる諸費用は、購入時までにそのほとんどを現金で用意しておく必要があります。そのため、資本計画に入れてしっかりと備えなければ、いざというときに慌てることになるでしょう。買い替えの場合は購入と売却をほぼ同時に行うことから、短期間でそれぞれにかかる費用が必要となります。この記事では、マンションの買い替えをするときには、いつまでにいくらの費用がかかるのかについて解説していきます。
マンションの買い替えは、「売り先行」と「買い先行」の2つに大きく分けることができます。まず、現時点で住んでいるマンションの売却を先に進めるやり方は売り先行と呼ばれています。一方、買い先行の場合は、先に新居の購入を進める方法です。
どちらを先行するかについては、買い替えをする事情に合わせて選ぶことがポイントです。売り先行、買い先行のどちらを選ぶかによって費用も大きく変わってくるため、賢く買い替えを目指すためにはプランをしっかりと立てて計画的に進めていくことが欠かせません。
ここでは、売り先行・買い先行のそれぞれのメリット・デメリットについて押さえておきましょう。
買い先行には、複数のメリット・デメリットがあります。
まず、今の生活を続けながら、時間に追われずに新しい住まいをじっくりと探したい人にとっては、買い先行が適しているといえるでしょう。加えて、買い先行の場合は、家を売るときにはすでに新居があります。そのため、別の場所で借り住まいをする必要がなく、引っ越しを1度で済ませることができるという点は大きなメリットのひとつです。
一方、買い先行の場合は、購入時にマンションンの売却代金を充てることができません。ゆえに、新居を購入するための頭金は別に用意する必要があります。買い先行では頭金を貯蓄などで用意しなければならないことから、ある程度資金に余裕がある人に限定される傾向があります。さらに、買い先行をする場合、家が売れるまでの間は、新旧マンションの2つのローンを同時に払わなければなりません。当初想定していたよりもマンションの売却額が低くなってしまった場合には、資金計画がひっ迫する恐れもあるため、買い先行はあまり堅実な方法とはいえないというデメリットがあります。
売り先行では、先に住んでいたマンションの売却を済ませる点が特徴です。
そのため、売却額を新居の購入代金に充てることができ、新居購入に向けて堅実な資金計画が立てられる点は売り先行の最大のメリットといえるでしょう。加えて、売り先行では今の生活を続けながらじっくりと売却を進めることができます。焦ってマンションの売却を進めてしまうと、売却価格を大幅に下げてしまうケースもあります。売り先行を選ぶと、適正な売却価格を下げるリスクはあらかじめ防げる点も大きなメリットのひとつです。
一方で、売り先行の場合、住んでいるマンションを売却してから新居がなかなか見つからず、決まるまでに時間がかかってしまうと、仮住まいが必要になることがあります。新居を見つけるタイミングを逃してしまうと、短い期間で2回引っ越しをしなければならなくなる点は、売り先行のデメリットといわざるを得ません。引っ越しを2回するとなると、その分引っ越しにかかる諸費用も用意する必要があります。
マンションの買い替えでは不測の事態が起こることも想定して、必要な準備を進めておくことが欠かせません。
具体的には、買い先行でプランを進めていても、急にマンションを売却しなければいけなくなるケースは実際にも見られます。
ほかには、売り先行でも好条件の物件が見つかって気に入った場合、急遽購入が決まるというケースもあるでしょう。このように、買い替えでは途中で事情が変わることもよくあるため、臨機応変にプランの変更ができるよう余裕を持った計画を立てておくことがポイントです。
ただし、急な事態が起こると慌てたり、不安になったりする人はたくさんいます。計画を立てる段階で、あらかじめ別のプランも考えておけば、想定外のことが起こっても比較的落ち着いた状態で対応ができるでしょう。
また、予定外に買い先行になってしまったときには、新居を購入するための頭金の準備ができていない可能性もあります。
このようなケースでは、「つなぎ融資」という制度の利用も検討してみましょう。つなぎ融資は、住宅ローンの融資を受けるまでの間に、一時的に借りる融資のことです。つなぎ融資は金利が高く手数料も発生するため、融資を利用するのであれば費用の確認しておきましょう。
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マンションの買い替えでは、売却と購入の両方に費用がかかります。ここでは、まず売却時に必要となる費用について、具体的に見ていきましょう。
マンションの売却をする場合、仲介手数料がかかります。仲介手数料とは、売却を仲介した不動産会社への報酬として支払われるものです。
仲介手数料は売買価格に応じて上限金額と計算式が決められています。
具体的には、売買価格が200万円以下の場合は、「売買価格×5%+消費税」です。
続けて、売買価格が200万円~400万円は「売買価格×4%+2万円+消費税」、売買価格が400万円以上では「売買価格×3%+6万円+消費税」となっています。
仲介手数料の支払い方は業者によって異なるという特徴があります。支払い方に関しては、売買契約の締結時と引き渡し時に半分ずつ支払うケースと、引き渡し時に全額まとめて支払うケースのどちらかです。加えて、仲介手数料に関してはどの不動産会社に依頼しても上記の計算式通りに支払うのが基本であるため、あらかじめ準備しておきましょう。
マンションの売却額によって、印紙代は異なります。そのため、指定された収入印紙を購入して、売買契約の書類に貼るようにしましょう。
万が一、印紙を貼らなければ脱税となり、追加徴収されます。そのため、収入印紙は忘れずに貼ることがポイントです。
印紙代の金額は、具体的に売却額が100万円超~500万円以下では1,000円、500万円超~1,000万円以下は5,000円、1,000万円超~5,000万円以下の場合は1万円となります。
ほかに、5,000万円超~1億円以下は3万円、1億円超~5億円以下では6万円の印紙代が必要となるため、売却額を確認して不足のないように用意しておきましょう。
売却額を充てることによってローンの残金を完済する場合は、約3,000~5,000円の一括返済事務手数料がかかります。
また、住宅ローンの契約が固定金利の場合には、数%の別途違約金が必要です。
住宅ローンを完済したら、登記簿に記載されている抵当権を抹消します。この手続きを行うときにかかるのが、抵当権抹消費用です。
抵当権を外さなければ、売買した自宅の引き渡しはできません。
また、この手続きを行う場合は、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士に依頼する場合は、依頼費用を含めて約2万円前後の費用がかかります。一方、個人で手続きをするのであれば、土地と建物で2件分の免許税2,000円、諸費用400円で、総額で約2,400円の費用がかかると覚えておきましょう。
譲渡所得税とは、建物を売却したときに生じた利益に対してかかってくる税金です。譲渡所得には譲渡所得税がかかりますが、その金額は売却したマンションを所有していた期間によって異なります。
具体的には、マンションを所有していた期間が5年(売却した年の1月1日現在で5年)以上か、10年以上かによって税率は変わってきます。そのため、建物の売却の際には確認しておきましょう。
マンションの購入にあたっては、売却するとき以上にさまざまな経費がかかってきます。また、購入するのが中古マンションか新築マンションかによっても、必要となる費用は変わってきます。
そこで、中古マンションの場合と、新築マンションの場合とに分けて、購入時にかかる費用について具体的に見ていきましょう。
中古マンションを購入する場合にかかる諸費用の目安については、購入金額の5~6%が一般的といわれています。
ここでは中古マンションの購入時には具体的にどのような費用がかかるのか、通常の取引で必要となる費用を確認していきましょう。
仲介手数料は建物を売却するときと同様、購入を仲介した不動産会社への報酬として支払われる費用です。仲介手数料の上限額については売却の場合と同様に、建物の購入価格ごとに決められています。
たとえば、売買価格が200万円以下では、売買価格×5%+消費税、売買価格が200万円~400万円は売買価格×4%+2万円+消費税の計算式となります。ほかに、売買価格が400万円以上の場合は、売買価格×3%+6万円+消費税です。仲介手数料の支払のタイミングについても、売却の場合と同様となります。
中古マンションを購入する場合も、売却のときと同様に印紙代が必要です。売却の場合も購入の場合も、どちらも売買契約書は必要となるため、印紙代もそれぞれ支払いましょう。印紙代は契約によって異なりますが、代金は売却の場合と同じであるため、事前に確認しておくことがポイントです。
不動産登記が必要となる場合は、司法書士に手続きを委託するケースも見られます。
「手続きに時間をかけられない」や「自分で手続きをするのは難しそう」などの理由から司法書士への依頼を考えているなら、当然司法書士への報酬も必要となります。一般的なマンションの所有権移転登記では、手数料は5万円~15万円前後が相場です。
ただし、手数料の価格は、不動産価格によっても変わってきます。また、平成14年以降には、司法書士報酬に関する基準価格がなくなりました。そのため、司法書士によって料金に多少の開きが見られるようになりました。司法書士報酬が適正かどうかを見極めるためにも、実際に依頼する前には無料相談などを利用して司法書士に相談をし、見積もりをとってみると良いでしょう。
住宅ローンにかかわる費用としては、住宅ローン融資手数料やローン保証料も含まれます。
住宅ローンを組む際には、金融機関に融資手数料やローン保証料を支払わなければなりません。ただし、融資手数料は金融機関によって異なります。そのため、住宅ローンを検討する段階で必ず確認しておきましょう。
融資手数料については、融資額の1~2%か、3,000円~8万円といった固定額を設定しているところが見られます。たとえば、融資手数料が融資額の1~2%の支払いをしなければならないケースでは、借入額が少ない場合は手数料も少なくて済みます。しかし、借入額が多くなると、その分融資手数料も高くなるため注意しましょう。
また、ローン保証料は、ローンの契約時に保証人を立てない場合に必要になる費用です。ローン保証料は、借入時に一括で支払う方法と、ローンの年0.2%ほどを金利に上乗せして支払う方法があります。ローン保証料については金融機関によって金額などが異なるため、確認しておきましょう。
火災保険料は、住宅を購入したときには欠かせない費用です。住宅ローンを利用する場合、火災保険に加入することを条件とする金融機関も見られます。ただ、火災保険の加入はあくまでも任意であるため、住宅ローンを検討するときには確認しておくことがポイントです。
加えて、保険料については、火災被害のリスクを左右する住宅の構造によって変わります。具体的には、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は火災があった場合でも燃えにくいため、保険料は安く設定してあります。
対して、木造の場合は燃えやすいことから、保険料も高くなるのが一般的です。さらに、一般的に、戸建てよりもマンションのほうが火災保険料は安くなるという特徴があります。
マンションを購入するときには、不動産取得税や登録免許税もかかります。
まず、不動産取得税は不動産を取得した人にかかってくる地方税であるため、自治体によって異なります。不動産取得税はマンションを購入した後、半年後~1年ほどの間に納税通知書が届きます。そのため、通知書が届くまでに費用を準備しておきましょう。不動産取得税の標準税額は、「固定資産税評価額×4%」の計算式をもとに算出することができます。
しかし、不動産取得税にまつわる特例はかなり多くのものが頻繁に出されるため、税額を割り出したいなら、専門的な知識を持つ司法書士や不動産会社、住まいのミカタなどの不動産情報サービス業者に相談したほうが良いでしょう。
また、登録免許税は、購入した不動産の登記の際に課される税金です。登録免許税の計算方法は「債権金額×0.4%」で求められますが、特例もあることを考慮すると非常に複雑です。そのため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士への報酬を含めると、20万円前後の費用で相談や登録免許税の計算ができます。
買い替えで新築マンションを購入した場合でも、購入時にかかる費用については、基本的には中古マンションと同じです。
しかし、新築マンションの場合、購入の際に仲介業者が入らないケースでは、仲介手数料が不要になります。ただし、新築マンションを購入すると、別途料金として修繕積立金が数十万円必要です。加えて、頭金とは別に申込金がかかるケースもあります。
一般的に、新築マンションの購入でかかる費用は、修繕積立金と申込金の2つです。しかし、購入するマンションによって独特の料金がかかるケースもあるため、購入前にはしっかりと確認しておきましょう。
これまでに紹介した費用以外にも、想定しておくべき費用はいくつかあります。
具体的には、引っ越し代や家具・家電購入費、売却物件のクリーニング代、修繕費、不用品処分費、購入物件のリフォーム代などです。これらの費用はすべての人にかかるわけではありません。
しかし、いずれの費用も必要となれば十数万円から数十万円程度がかかってくるため、マンションの購入費用とは別に準備しておくのが理想的です。
不動産については、購入時も売却時も高額な税金が課されます。しかし、減税措置を利用すれば、出費を抑えることもできます。
ただ、減税措置にはあらゆるものがあるため、素人が判断するのは難しいという点はデメリットといえるでしょう。ここでは、特に覚えておきたい代表的な減税を紹介します。
マンションを売却して譲渡所得があった場合には、税金がかかってしまいます。
しかし、譲渡所得の特別控除には、「3,000万円特別控除の特例」と「軽減税率の特例」の2つがあります。まず、3,000万円特別控除の特例は、譲渡所得が3,000万円までは税金がかからなくなるというものです。
次に、売却する年の1月1日の時点でマンションの所有期間が10年を超えている場合は、軽減税率の特例によって売却時の税率が軽減されます。
特例を受けるためには、一定の条件と確定申告が必要です。加えて、マンションの売却時に譲渡損失があった場合には、「譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の特例によって、譲渡損失譲渡所得税と住民税が他所得と損益通算できるようになります。
この特例を用いると給与などの他所得とあわせて考えることができるようになるため、税額がゼロになるケースもあります。
マンションの購入時にかかる減税措置として、「住宅ローン減税」が挙げられます。住宅ローン減税とは、年末ローン残高の4,000万円を上限として、毎年のローン残高の1%を10年間に渡って所得税から控除される減税措置のことをいいます。
具体的には、ローンの残高が2,000万円ある場合、年20万円が控除されることになるのです。認定長期優良住宅、または認定低炭素住宅を購入した場合は、ローン残高の上限が5,000万円になるためよく確認しておきましょう。
ただし、住宅ローン減税や、「譲渡所得の特別控除」「譲渡損失の損益通算及び繰越控除」と併用することはできません。そのため、あらかじめ計算をして、どちらがお得かを見極めておくことがポイントです。
また、「中古住宅およびその敷地の税額の軽減」や「新築住宅およびその敷地の税額の軽減」、「認定長期優良住宅の税額の軽減」なども特例として利用することによって税金が軽減されます。ただ、これらはそれぞれ適用される条件が違うため、素人が判断するのは難しいという問題があります。減税措置を賢く使うために、不動産会社や税理士、住まいのミカタなどの不動産情報サービス業者に相談してみましょう。
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マンションの買い替えをするときには、安心して任せられる不動産会社を探すことが重要です。
実は、マンションの買い替えについては、不動産の売却と購入を同時に行うという観点から、かなり高度な取引といえるのです。加えて、買い替えにかかる費用や税金の計算は複雑であるため、プロに相談しながら計画的に進めていったほうが安心です。
住まいのミカタなどの不動産情報サービスを利用すると、あらゆる情報を知るスタッフがさまざまな悩みに対して無料でアドバイスしてくれるだけでなく、中立的な立場にたってそれぞれの事情を考慮しながら信頼できる不動産会社を厳選し、紹介してくれます。そのため、買い替えの強い味方として、不動産情報サービスを積極的に活用しましょう。
マンションの買い替えをする場合は、プロの無料相談を最大限に活用することがポイントです。プロに相談すると、想定外の予定変更があった場合でも柔軟に対応でき、それに見合った予算を組んで買い替えにのぞむことができます。
また、税金にはさまざまな特例があります。そのため、実際に支払う前に必ず専門家に相談して賢く軽減し、マンションの買い替えをお得に成功させましょう。