作成日:2019/07/25
「マンションを売りたいけど売却価格の相場が分からない」そういった悩みを持っているマンションオーナーはたくさんいます。マンション売却はポイントを押さえればしっかりと高値で売ることが可能です。このコラムでは、マンションの売却を考えている人向けに売却時の価格相場や相場の調べ方について解説します。マンション売却で損をしないために、ポイントをきちんと押さえておきましょう。
まず、都市部のマンション売却平均価格について大まかな数字を確認しておきましょう。主な5つの都市部のマンション平均売却価格は以下の通りです。
平均売却価格が一番高いのは東京都の3469万円です。東京都では平均築年数も18年と主要都市の中で一番浅くなっています。東京都についで平均売却額が高いのは神奈川県の2464万円です。東京都と千葉県では平均売却価格が2倍ほど開きがあることも注目ポイントになります。もっとも、上記の数字はあくまでも売却価格の平均値です。特に、東京都は一部の富裕層向けマンションがかなりの高額で売買されているため、平均値も大きくなっています。1つ1つのマンションにおいては、間取りや立地条件等のスペックによって売却額は大きく変わるため注意が必要です。マンションの売却額に関わる要因については後程、詳しく解説します。では、次は「どのようにマンションの売却額は決まるのか」について紹介します。マンションの売却価格を決定する方法を知っているかどうかはかなり大きな違いです。きちんと理解しておきましょう。
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マンションを売却する際は基本的に物件を取り扱う業者が査定し価格が決まります。そして、マンションの売却価格を決める査定方法は大きく分けて「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3つです。それぞれの査定方法によって売却価格に違いが出るので、違いをしっかりと理解しておきましょう。
取引事例比較法はマンションの売却価格を査定する上で最も主流となっている査定方法になります。
査定の仕方としては、売却するマンションと条件が近い過去の事例をいくつかピックアップし、平均坪単価を算出します。算出した平均坪単価に対象の不動産の広さをかけることで基準となる売却額を算定するのが取引事例比較法です。
もっとも、これだけでは立地条件や建物の方角、地理条件などそれぞれの不動産によって違う細かな条件が価格に織り込まれていません。そこで、基準となる売却価格に方角や高低差等、その不動産特有の条件を考慮して売却額を調整、決定していきます。
取引事例比較法の注意したいポイントは「過去の事例がなるべく多く・新しく、そして対象のマンションと条件が近いほどより正確に売却額が決まる」という点です。最新の売買事例が多ければ多いほど価格は正確な相場価格へと近づきます。
さらに、対象のマンションや不動産の条件が似ている、もしくはほぼ同じであればその金額が売却価格の目安になります。ちなみに、過去の売却事例については、レインズというサイトで詳細を見ることが可能です。
しかし、レインズは不動産会社しか利用できない仕組みです。
レインズでは全国の不動産売買の記録がアーカイブされており、全国の不動産会社が閲覧できます。
つまり、取引事例比較法では、どの不動産会社もレインズを利用するため、会社による査定額の差が小さくなります。逆に、あまり人気のない間取りのマンションや条件がめずらしい所に関しては、不動産会社によって査定額に差が出やすいので注意しましょう。
原価法は主に一戸建ての建物部分の査定法として多く利用される査定方法です。
査定の仕方としては、まず対象の建物を取り壊したと仮定し、全く同じ建物を一から建てたときにいくらかかるかを計算します。これを「再調達価格」といい、売却価格の大まかな目安となる金額です。
この再調達価格から対象の建物が老朽化している分を差し引くことで売却価格を決定します。築年数が浅く、老朽化している部分が少ない場合は売却価格が高くなります。
もっとも、原価法は査定方法がやや複雑であり、この方法だけで査定している不動産会社はほとんどありません。実際には、上記で紹介した取引事例比較法と併用して利用されます。
まずは取引事例比較法を使って具体的な事例から相場価格を算出し、その後に価格の修正や辻褄を合わせる形で使われることが多いです。原価法は主に一戸建ての建物部分に利用されるため、土地部分は別の方法で算出されます。建物部分と土地部分の2つの金額を合算した額が一戸建ての売却額となります。
収益還元法は、主にアパートや賃貸マンションの売却額を算出する際に用いられる査定法です。
アパートや賃貸マンションなど家賃収入を得ることを目的とした投資用不動産の売却価格を査定するときに利用します。収益還元法では、対象の不動産が将来的にどれぐらいの収益を見込めるのかに基づいて売却額を決定するため、単純な築年数や立地条件だけでなく利回りや経費、税金等も計算に含まれる査定方法です。
具体的な査定方法としては、まず対象の不動産の利回り(%)を算出します。投資用不動産の利回りは「年間家賃収入÷投資金額×100」で計算できます。厳密には、不動産には税金等の経費がかかるため、年間家賃収入から年間経費を差し引く必要があるので注意が必要です。利回りが決定すれば、「年間家賃収入÷利回り×100」で不動産価格が算出されます。
収益還元法の注意点としては、利回りを正確に算出することが難しいため、エリアごとのおおよその利回り(想定利回りという)が用いられることが多い点です。
正確な利回りを算出するには複雑な計算が必要なため、不動産売買の実務では行われていません。また、収益還元法はアパートや賃貸マンションといった投資用不動産において使われる査定法であり、一戸建ての家や居住用マンションには利用しません。
収益還元法は計算が複雑な査定法ですが、計算さえ理解できれば自分で投資用物件の査定価格を求めることができます。そのため、異常に高価格な物件や割に合わない物件を回避することができるのがメリットです。
次は、マンションをより高く売るために知っておきたいポイントについて解説します。このポイントを押さえているかどうかで売却価格は変わります。少しでも相場より高く売りたい方は絶対に押さえておきましょう。
マンションには売れやすい時期、購入者が集中する時期があります。
購入者が集中するということはマンションの需要が高まるため、少し高くても売れるということです。マンションが売れやすい時期をしっかりと狙えば相場より高い価格で売ることが可能です。
マンションの売れやすい時期は3月です。
なぜマンションが3月によく売れるのかというと「会社員の転勤や異動、子供がいる家庭であれば入学・進学などで環境が変わる時期」だからです。3~4月の春シーズンは子供が大きくなるのに合わせて、家の買い替えを考えたり、転勤に伴って家を引っ越したりする人が増えます。春のシーズンはマンションに限らず、すべての不動産が最も動く時期と言われているのです。
もっとも、3月や4月に売る準備をし始めるのでは遅いです。
4月から新生活が始まる人達は約6カ月前からネットで物件を探しはじめ、4カ月前には不動産や金融機関に足を運び始めます。この時期に自分が売りたい不動産が目に入るように準備しておきましょう。
そして、新生活の2カ月前である2月頃には物件の内見や交渉、契約の準備に入ります。こうした事前の準備が無ければスムーズに売却できないので注意が必要です。
マンションを買おうと考えている人に向けて、部屋の印象を良くすることも重要なポイントです。
部屋の印象が良ければ高価格であっても売れやすくなります。部屋の印象をよくする具体的な方法としては「掃除を行き届かせ清潔感を出す」「内覧時に物を少なくして部屋を広く見せる」「インテリアと照明にこだわり部屋に明るさを追求する」などです。
まず、最低限の掃除は徹底して行っておきましょう。
床や壁にホコリやゴミが散乱しているだけで部屋の印象が一気に悪くなります。大掛かりなリフォームなどは必要ありませんが、必要最低限の生活ができるだけ綺麗にしておく必要はあります。
また、インテリアのイメージとしてソファやテレビを配置する場合もありますが、物はできるだけ少ない方が良いでしょう。物が多いと部屋が狭く見えてしまうため、少しでも広く見せるために物は少ないほうが良いです。さらに、照明にも注意を払いましょう。間接照明などの照明は部屋の印象を大きく左右します。購買意欲が少しでも高くなるように照明にも工夫を凝らすと売れやすくなります。
また、部屋自体以外にも、内覧に来た人に丁寧な対応をすることも大切です。なぜなら、家を買う決め手の理由として常に上位にあるのが「売主の人柄」だからです。最低限、笑顔と清潔感のある服装は心がけておくと買い手の印象も良くなります。
「マンションを売るなら老朽化している部分はリフォームしなければいけない」と思いこんでいる人はたくさんいます。たしかに、マンションをなるべく高く売るために、きれいな状態に修復することは大切です。
しかし、必要のない箇所まですべてリフォームする必要はありません。例えば、壁に明らかな汚れが目立つといったことはリフォームが必要になります。これは、通常の生活に最低限必要な修復だからです。一方、バスルームを最新設備にしたり、床暖房を設置したりすることなどは無駄になる可能性があります。
なぜ、リフォームが無駄になる可能性があるのかというと「買い手の決め手がどこにあるのか分からない」からです。
良かれと思って行ったリフォームで逆に買い手がつきにくくなる場合もあるので注意しましょう。
買い手の中にはリフォームはマンション購入後自分で行いたいという人もいます。したがって、無理をしてまでリフォームする必要はありません。まずは必要最低限の全体の清掃から取り掛かるべきです。
ここまでマンションの査定方法や高く売るポイントを紹介しましたが、実際に売却する際の相場価格を自分で調べたいという人もいるでしょう。全く相場を知らないまま不動産業者と交渉するよりも、ある程度自分で調べられれば安心して売買を行うことができます。そこで、次は売却相場を調べられるウェブサイトを紹介していきます。
Reins Market Information
「Reins Market Information(レインズ・マーケット・インフォメーション)」は、通称レインズと呼ばれるサイトで、公益財団法人東日本流通機構の特設サイトです。
個人、企業に関係なく不動産を売却する際はレインズに掲載することが義務付けられています。不動産の売買が成立すると、データベースとしてレインズに登録される仕組みです。Reins Market Informationは個人でも利用できますが、不動産業だけが利用できる別バージョンのレインズ(近畿レインズなど)もあります。
Reins Market Informationの使い方としては、建物種別・都道府県・地域・地域詳細などを指定し検索します。
さらに、沿線や間取りなどを詳しく入力すれば、そのエリアで過去に行われた取引履歴を見ることが可能です。成約時期・築年数・間取りからいくらの坪単価で取引されたかが分かるため、売却価格の目安になるでしょう。
「不動産取引価格情報検索」は、国土交通省が提供しているサイトです。
不動産取引を行った人に向けてアンケートを実施、その結果をデータベースとして登録しています。レインズとの違いは、土地や農地など幅広い種別に対応していることです。
使い方としては、まず取引時期を選択→土地の種類を選択→地域を選択→この条件で検索をクリックという流れになります。全国地図が表示されているので、自分が検索をかけたい地域を簡単に選択でき使い勝手が良いのが特徴です。航空写真から地域を指定することもできます。
「価格天気図」は株式会社東京カンテイが提供している不動産情報サイトです。
全国の中古マンションの価格動向を天気マークで表現しているのが特徴です。晴れであれば上昇傾向、雨であれば下降傾向といったイメージです。価格の上がり下がりが直感的に理解できるため、不動産の知識があまりない人でも利用しやすいサービスになります。
価格天気図は毎月30日前後に更新されるため、毎月チェックすることで、エリア毎の不動産価格の推移を捉えることが可能です。もっとも、価格天気図はあくまで価格推移の傾向を捉える程度で、詳細な相場を知りたい場合は上記の2サイトが最適です。
最後にマンション売却時にかかる手数料について解説します。手数料は大きく分けて「税金」と「それ以外の手数料」の2つです。不動産の売却価格に応じて手数料も高額になるため、少しでもコストを抑えられるように、手数料の内容をしっかりと把握しておきましょう。
まず、不動産の売買にかかる税金関係の手数料としては「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」の3種類です。
「印紙税」とは、マンションの売買に必要な売買契約書に貼る印紙代のことをいいます。
売買価格に応じた金額の印紙を貼って消印することで納税したとみなされる書類です。契約書に記載されている売買価格によって印紙代は決定されます。売買金額が1000万円超5000万円以下であれば印紙代は「3万円」です。
次に「登録免許税」とは、マンションを手放す際に必要な抵当権抹消という手続きにかかる税金のことをいいます。売買の取引を司法書士に依頼する場合は基本的に依頼代金に含まれるものです。費用は数千円程度になります。
最後に「譲渡所得税」とは、資産を譲渡することで発生する所得税のことです。
不動産譲渡所得の計算式は【不動産譲渡所得=不動産売却価格ー(購入価格+購入時の費用+売却時の費用)ー特別控除】になります。
この譲渡所得として見込まれた金額の14~20%が不動産譲渡所得税の相場です。もっとも、居住用の土地・建物売却では3000万円までの特別控除があるため、3000万円以上の不動産譲渡所得がある場合に税金がかかります。
不動産の売却における税金以外の手数料としては、「仲介手数料」「司法書士への報酬」「リフォームなどの費用」の3つです。
「仲介手数料」は、不動産売買を仲介する不動産会社への報酬になります。
仲介手数料は法律で上限金額が設定されており、最大でも売却額の3%+6万円です。不動産の売却価格が2000万円の場合【2000万円×3%+6万円】×消費税=71万2800円の仲介手数料がかかります。
「司法書士への報酬」は「不動産登記の費用」「調査費」「登録免許税」の3つの報酬の合計です。全部で3万円前後が相場になります。
最後に、「リフォーム等の費用」がかかります。ここでいうリフォーム等の費用は、マンションのクリーニング代、家具等の撤去費用、修繕費用のことです。
もちろん、自身で行えば費用は一切かかりません。一方、業者を使う場合は利用する業者よって費用が大きく異なります。業者に依頼した場合、最低でも20万円以上、リフォームを行う内容によっては百万円単位で必要です。
もっとも、上記で説明したようにリフォーム費用はできるだけ最小限にとどめておくのがよいでしょう。必要以上にリフォームをしても買い手がつかなければ意味がありません。
【土日祝も営業】マンション売却のコツや注意点を学べる!住まいのミカタの個別相談会
マンションを高く売るために重要なのは「売る時期」です。タイミングを逃せば高く売れる不動産も買い手がつかない場合もあります。とはいえ、自身でマンションの売却相場等を調べるのは非常に大変です。そのため、不動産の売却はプロに相談するのが最適です。
私たち「住まいのミカタ」では不動産売買のアドバイスサービスを行っています。 業界経験10年以上・1000組以上の不動産取引に携わった元仲介経験者が、中立的な立場から、本音のアドバイスを提供します。
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