作成日:2019/07/08
マンション購入時にかかる税金は高額となることも多く、購入前からしっかりその資金を用意しておく必要があります。本記事では、マンション購入時にかかる税金について税率や軽減制度などしっかり解説すると共に、金額ごとのシミュレーションを掲載しています。
まずは不動産購入時にかかる税金を把握しておきましょう。不動産購入時には以下のような税金がかかります。
売買契約書や住宅ローンの契約書など、契約書を作成すると、その記載された金額に応じて印紙を貼付する必要があります。不動産の売買に関する契約書や、建物を新築する際の請負契約書は軽減税率の適用を受けることができます。
不動産を購入して所有権を売主から買主へ移転する際の所有権移転登記や、ローンを組むにあたり、不動産に抵当権を設定するための登記など、登記時に登録免許税を納める必要があります。売買を要因とする土地の所有権移転登記には軽減税率が適用されます。
不動産を購入した人に課される税金で、居住用の住宅(賃貸用マンションも含む)は建物と敷地双方において軽減税率の適用を受けることができます。ただし、建物については築年数に応じて軽減額が決まります。
不動産を所有している人に課される税金で、住宅用地(賃貸用マンション含む)については軽減税率の適用を受けられます。また、市街化区域内にある土地については固定資産税に加えて都市計画税が課されますが、こちらも固定資産税と同じ要件で軽減税率の適用を受けられます。
不動産購入時には、買主が購入した日以降の固定資産税を負担するよう「固定資産税分担金」を支払うのが一般的です。
購入時には保有時にかかる税金と売却時にかかる税金についても把握しておくことが大切です。
不動産を保有し続ける限り、毎年固定資産税や都市計画税を納める必要があります。
また、賃貸マンションなど、家賃収入を受け取る場合には、受け取った家賃から各種経費を差し引いた額を不動産所得として計上し、所得税・住民税を納める必要があります。
不動産所得に関する所得税は所得の額が多くなるほど税率の高くなる累進課税制度となっています。
不動産を売却して利益(売却価格-取得費-譲渡費用)を得た場合、その利益に対して譲渡所得税が課されます。不動産を売却して得られた譲渡所得税は所有期間が5年以下か5年超かによって税率が変わります。
不動産を保有していると毎年、建物の劣化分を減価償却費として経費計上できますが、保有中に減価償却費を多く計上すると、売却時に計上できる経費(取得費)が少なくなり、納税額が大きくなってしまう点に注意が必要です。不動産購入時にかかる税金、保有時の税金、売却時の税金について触れましたが、以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。
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まずは印紙税について見てみましょう。
不動産の売買に関する契約書の印紙税の税率は以下の通りです。
2020年3月31日までの間に作成された売買契約書については右欄の軽減税率の適用を受けることができます。また、アパートローンなどローンを組む場合、金融機関と金銭消費貸借契約書を締結しますが、こちらは上記表と同じ印紙税となりますが、軽減税率の適用を受けられません(本則税率の適用)。
ここでは、実際にマンションを購入した場合にかかる印紙税について、価格が3,000万円の場合と5,000万円の場合、1億円の場合の3つに分けると以下のようになります。
次に、登記の際にかかる登録免許税について見てみましょう。
登録免許税とは、不動産の所有権移転登記や、抵当権設定登記など登記する際に納める必要のある税金です。なお、不動産を購入すると売主から買主へ所有権を移転する必要があります。所有権移転登記費用についてどちらが負担するかについては、話し合いで決めることもできますが、買主が負担するのが通例です。
マンション購入時には、主に売主から買主へ所有権を移転する所有権移転登記費用と、マンションを購入するためのローンを組むにあたり、物件に抵当権を設定する抵当権設定登記費用がかかります。それらの登録免許税の税額は以下のように決められます。
・土地の所有権移転登記:固定資産税評価額×1.5%(2021年4月1日以降2%)
・建物の所有権移転登記:固定資産税評価額×2%
・抵当権の設定登記:債権価格×0.4%
なお、中古住宅については一定の要件を満たすと建物の所有権移転登記を0.3%、抵当権設定登記を0.1%とできる特例がありますが、この特例を受けるためには「自己居住用」である必要があります。
固定資産税評価額とは、市町村が固定資産税を徴収するために定めるものです。基本的に全ての不動産に対して固定資産税評価額が定められ、その調査が膨大となるため3年に1回の評価替えという制度が取られています。
3年に1回しか評価替えを行わないということもあり、その間の価格の変化など、納税者間で不公平とならないよう、時価の7割程度を目安に定めることとされています。
つまり、1億円で購入した物件であれば、固定資産税評価額はおおよそ7,000万円程度と考えることができます。
ここでも、3,000万円(土地1,000万円、建物2,000万円)の場合と5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)の場合、1億円(土地3,000万円、建物7,000万円)の場合で、それぞれにかかる税金を計算してみましょう。
引き続き、不動産取得税について解説します。
不動産取得税とは不動産を取得した人に課される税金で、取得税に1回だけ納めればよいです。
不動産取得税は、購入後しばらくしてから請求書が送られてきます。このタイミングが、3カ月後のこともあれば1年後のこともあり、忘れたころにやってくることもあるので注意が必要です。
不動産取得税は高額になることが多く、本当に忘れていたら大変です。いくら請求書が届くのが遅くても、不動産取得税が課税されないということはないのでしっかり納税資金を用意しておくことが大切です。
マンション購入に関する不動産取得税の税額は以下の計算式で決められます。
・不動産取得税=固定資産税評価額×3%(ただし、2021年4月1日以降は4%)
また、居住用住宅(賃貸マンション含む)で建物の延床面積が50㎡以上240㎡以下で耐震基準を満たせば、以下のような軽減を受けることができます。
・建物:不動産取得税=(固定資産税評価額−控除額)×3%
土地については以下の通りです。
・土地:不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)-控除額
控除額は、下記AかBのいずれかから多い金額となります。
・A=45,000円
・B=(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡限度))×3%
ここでは、建物面積200㎡、土地面積400㎡、築10年のマンションを購入することを仮定し、3,000万円(土地1,000万円、建物2,000万円)、5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)、1億円(土地3,000万円、建物7,000万円)の3つに分けて不動産取得税の額を計算してみたいと思います。
なお、計算が複雑になるため、ここでは土地の控除額についてAの45,000万円を適用します。
最後に、固定資産税です。
固定資産税とは1月1日時点の不動産の所有者に対して課される税金で、市街化区域内にある土地であれば固定資産税に加えて都市計画税も納める必要があります。購入時には、購入日から後にかかる固定資産税を支払う必要があると共に、購入後は保有し続ける限り毎年支払う必要があります。
なお、建物の固定資産税については、保有期間中少しずつ評価額が落ちていくため、納税額も少なくなっていきます。
固定資産税は1月1日時点の保有者に対して請求されるため、不動産を売買した場合、売主に対して請求書が送付されます。このため、売買契約を締結し、不動産を引き渡す際には売主から買主に対して1年間の固定資産税に、12月31日までの残日数をかけて日割り計算で固定資産税を支払うのが一般的です。これを固定資産税分担金と呼びます。
例えば、固定資産税が30万円で、11月30日に引き渡した場合、残日数は31日なので以下のように計算します。
・固定資産税分担金=30万円×(31日/365日)=25,479円
固定資産税と都市計画税は、自治体によって異なることもありますが、原則としては以下のように求めます。
・固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
・都市計画税=固定資産税評価額×0.3%
また、居住用住宅(賃貸用マンション含)の場合、土地について以下のような軽減税率の適用を受けることができます。
ここでは、建物面積200㎡、土地面積400㎡のマンションをそれぞれ3,000万円(土地1,000万円、建物2,000万円)、5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)、1億円(土地3,000万円、建物7,000万円)で購入することを想定して固定資産税・都市計画税の額を計算します。
ここまで、マンション購入時にかかる税金について計算してみましたが、その合計額はいくらくらいになるのでしょうか。
3,000万円の場合、5,000万円の場合、1億円の場合でそれぞれ合計額を計算すると以下の通りです。
ここまで、築10年のマンションを購入することを想定して税額を計算してきましたが、新築を購入する場合ではそれぞれ以下の点で異なります。
印紙税については、土地の売買契約書以外に建物の請負契約を結び必要があり、建物の請負契約書にも印紙を貼る必要があります。
建物を新築すると、新しく登記を作成する「表題登記」や「所有権保存登記」をする必要があります。
不動産取得税については、新築と中古とで大きな違いはありません。
固定資産税については、建物について120㎡までの部分について課税標準(固定資産税評価額)を5年間1/2とすることができます。なお、都市計画税にはこの特例はありません。
本記事では購入時にかかる税金をメインにお伝えしていますが、購入時から保有時にかかる税金や売却時にかかる税金について想定しておくことが大切です。投資用物件であれば保有中、固定資産税以外に不動産所得として所得税と住民税がかかり、売却時には譲渡所得として所得税と住民税がかかります。
建物については、保有しているだけで劣化していってしまうため、劣化分を減価償却費として経費計上できますが、減価償却が大きくなるほど、売却時の経費は少なくなってしまいます。購入時に償却期間を短くできる物件を取得すれば、毎年大きな額を経費計上することができますが、その分売却時の税金が高くなってしまう点に注意が必要です。
ただし、売却時の税率は5年超の所有で20.315%(所得税+住民税)となるため、保有中の税金(所得に応じた累進課税で、最大55%程度)より安くしやすいです。
減価償却費は築年数と耐用年数によって定められるため、購入時の物件選びの際に、そこまで想定した物件選びをするとより投資のパフォーマンスを高めることができます。
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マンションの購入にかかる税金について、価格ごとに具体的な金額をお伝えしました。実際には、築年数や面積などさまざまなことを要因に価格は変わるため、今回ご紹介した計算式を物件ごとに当てはめて算出するようにしましょう。
不動産投資において税金はもっとも大きい出費となりやすく、その額を少しでも安くできるよう計画を立てることが投資のパフォーマンスを高めることにつながります。それぞれの税金の内容と税率、軽減制度についてしっかり理解しておくことが大切です。