作成日:2018/8/23
マンション購入という、大きなお買い物。ライフイベントのなかでも、一大プロジェクトです。
あとから気づいて、あぁ失敗した……なんて思いをしないために、より知識を得て進めたいものです。
そしてマンションを買うときに悩むのが、新築マンションと中古マンション、どっちがいいの?という問題。実際のところ、買うならどちらがよいのでしょうか。
今回は、実際に新築マンションと中古マンションの販売経験のある私が、その「違い」について解説します。
大前提として、新築マンションと中古マンションは、販売価格の決定方法から大きな違いがあります。まずはこの違いについて説明します。
新築マンションの価格設定は、「土地の仕入れ価格」+「建築費」+「販売費」で、おおよそ構成されています。売主は、モデルルームなどよく見かける不動産会社となります。
いっぽうで、中古マンションの価格設定はとてもシンプルで、売主(個人)が自由に販売価格を決めています。売主は大半が個人で、販売物件は居住中のものから、空室のものまであります。
ではこの違いにより生じるものは何なのか?実は、ここ数年のマンション価格上昇の原因のひとつが、ここに隠されています。
新築マンションは、まず土地の仕入れから始まります。
土地を仕入れたら建築プランを検討し、プランがまとまれば建築費が算出され、販売方針とともに販売費が決まっていきます。
ここ数年の新築価格が上昇してきた要因はここに隠されています。
近年、駅から近いほど開発が進み、デベロッパーの土地仕入れ競争が激しくなる中でインバウンド需要も拡大して、ホテル業界まで土地取得に参入しています。
その結果、デベロッパーは、高値でも仕入れせざるを得ない状況になってしまいました。
さらに「建築費」も上昇し、鉄を始めとした建築資材の上昇が続いています。また、最低賃金の上昇と消費税増税(8%)の影響によって「販売費」も上昇しています。
こういった様々な要素から、新築マンションの販売価格は上昇せざるを得ない状況になりました。
ときを同じくして株価が上昇し、富裕層が増えたため、上昇した価格でも販売が進むという現象が起きています。
中古マンションの販売価格の設定は、前述の通り「売主の希望」のみで決まります。
売り主は、販売を担当する不動産会社から相場を踏まえた販売価格の提案を受けますが、「この金額で販売したい」と希望すれば、それがそのまま販売価格となります。
なお、よく誤解されていますが、中古マンションは個人間売買のため、マンションそのものに消費税はかかりません(個人売り主の場合のみ)。
そういった税金事情も含めて「中古マンションは割安で購入できる」と考える方が増え、近年は中古マンションの取引件数が軒並み上昇しています。
また、マイナス金利を発端とした超低金利の今のうちに購入しようという顧客心理も大きく影響し、2017年の中古マンションの年間成約件数は、3年連続で前年を上回り、過去最高を更新しました。
※参考:首都圏不動産流通市場の動向(2017年)(公益財団法人東日本不動産流通機構)
このような背景から需要が増え、都心部の中古マンションの価格は2012年末あたりから上昇傾向にあります。
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つづいて、マンション購入時に具体的に検討する項目ごとに違いを説明していきます。
前述のとおり、新築マンションはデベロッパーの「土地の仕入れ」からスタートします。
土地がなければ新築マンションは建ちません。つまり、新築マンションを検討する際には、選択肢が少なくなるということです。
中古マンションは、売り出しさえあればあらゆるマンションが選択肢になり得るため、物件が多くなり、幅広く検討できます。
たとえば、「この街に住みたい!」「駅距離7分以内は外せない!」など、エリア・駅からの所要時間に強い希望条件のある場合は、中古マンションの方が希望に合う物件と出会えることが多い可能性が高いのです。
新築マンションの場合、販売が開始されたばかりの時期であれば、同じマンション内で広さ・間取り、方位などを選べることがあります。
中古マンションは売出し物件の条件によって左右されてしまうため、リフォームをして自分好みの間取りへ変更するのもいいでしょう。
新築マンションに使用される設備は、やはり最新のものが多く見受けられます。
最新の機能を目の当たりにするだけで、気持ちが高まりますよね。
中古マンションは、見劣りしがちと思われがちですが、オートロックなどのマンション全体のセキュリティ面を始め、新築マンションにそう見劣りしないものも多くあります。
ただし、設備の使用状況についてはよくチェックしておきましょう。いざ自分が住み始めたときに、設備が使えなくては困ります。
特に水まわりは、排水されにくくないか、カビの臭いがしないか、赤水が出ないかなど、細かい点までよく確認することが大切です。
設備関係は、2018年度から法改正により「ホームインスペクション(住宅診断)」の説明が義務化されます。
「ホームインスペクション(住宅診断)」とは、第三者が住宅の様々な項目についてチェックし、場合によっては保証を付けるサービスです。事前にホームインスペクションを行い、保証まで付けば、万が一のときにも安心ですよね。
中古物件なら、フルリフォームをして自分の好きな最新設備を入れるというのも選択肢のひとつです。
1981年、建築基準法の「耐震基準」が大幅に改定されました。
新築マンションなら問題ありませんが、中古マンションを買うときには、それ以降に建築されたものを選択することをおすすめします。
ただし、建物自体の耐震性に着目することも大切ですが、どこに建っているかも重要なポイントのひとつです。
この土地は以前はどのような状況であったか、軟弱な土地でないかなど、建物だけでなく土地について確認しておきましょう。
なお、「住まいのミカタ」の無料面談では、オープンデータを独自分析した物件ごとの地盤・災害リスクレポートを無料で差し上げています。
希望エリアの地盤・災害リスクを確認されたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
「遮音等級」という、音の伝わりやすさの指標があり、新築マンションの場合は、ほとんどが最低条件をクリアしています。
中古マンションの場合には、新築時の資料で遮音等級を確認することができるので、仲介会社の担当者に確認するといいでしょう。
また、中古マンションの場合には、物件の見学時に、実際に住んでいる売主から生活音について直接聞くことができます。
実際に周辺から聞こえてくる音の確認や、上の階から時間帯によっては物音がする…といったリアルな話を聞けるのは、中古マンションの物件ならではですね。
新築マンションは一斉に生活がスタートするので、コミュニティが形成しやすい面があります。
最近のマンションは、マンション内での季節ごとのイベントなどを積極的におこなうところが増えています。
中古マンションは、上下左右の住人の様子を売り主に聞くといいでしょう。
最後に、費用面での違いを説明します。
一般的に、新築物件では物件価格の約3~7%、中古物件では物件価格の約7~10%の諸費用がかかるといわれます。
新築マンションなら修繕積立基金・管理準備金、中古マンションの場合には仲介手数料がかかります。それ以外で掛かる費用は、おおむね同じです。
中古マンション購入にかかる費用の詳細は、こちらの記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてください。
住宅ローンには、新築・中古の違いによる大きな差はありません。
ただし、あまりに築年数の経過したマンションだと、それが理由で住宅ローンが借りられないこともあります。
また、新築マンションと中古マンション、ともに気をつける点がひとつ。「住宅ローン控除」です。
実は、すべての物件購入の際に使えるわけではないのです。
年収制限、広さ制限、築年数の制限等がありますので、事前に確認しておくことが重要です。
税制についても、僅かながら違いがあります。
新築マンションは、固定資産税の当初5年間に限り特例があります。
5年後以降は年間の支払い額が変わりますので、それを知っておくことが大切です。
中古マンションの場合は、築4年あたりでの購入する際には、翌年から特例がなくなってしまい、聞いていた固定資産税と違う……ということが起こりますので、こちらも注意しておきましょう。
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
新築マンションと中古マンション、それぞれの違いについてみてきましたが、それぞの販売に携わったことのある私から、最後にお伝えしたいことがあります。
それは、マンション購入とは、「モノを買う」というよりも「自分(たち)の暮らしを買う」に近いということ。
資産価値や将来性についても気になるのは確かですが、大切なのは日々の暮らしです。
自分(たち)が、なるべく快適に毎日の生活ができる物件はどれか、という観点を大切にして物件探しを行っていただきたいです。
希望条件を100%満たす物件はないとよくいわれますが、それぞれの違いを知った上で、より納得度の高い物件と出会っていただければ幸いです。
「住まいのミカタ」では、マンション購入を検討され始めた方の無料相談に乗っています。
私たちにお役に立てそうなことがあれば、ぜひお声掛けください。皆さまが良き物件と出会えることを願っています。